6月、都市の梅雨は不思議なエア・ポケットだ。本を読む時間が増え始め、頂いた詩集をペパーミントグリーンの筆ペンで書写してみたり、横浜市立図書館の検索・貸出サービスでたくさん詩の本を借りたり。
昼間の電車や地下鉄に乗って、浦島太郎が玉手箱を開けてしまったような気分を感じつつ、コーヒー屋さんのテーブルにノートを開いたり。ああ、ひさしぶりだこと。
谷川俊太郎さんの、『僕はこうやって詩を書いてきた***谷川俊太郎、詩と人生を語る』を読む。その平明な言葉が、素直な自分を呼び起してくれる。
自分のしてきたいろいろなこと、リアルなできごと、かなしみ、愛しさ、滑稽さ・・・。澄んで光る言葉の痛み、言葉の幸福な孤独、そんな世界を歩く。とても気持ちがいい。
自分と世界と読み手という、表現の基本に立つ谷川俊太郎さんの柔らかな姿勢が、詩型を突きぬけて届く。あまくて苦いひとの暮らしが、透き通ってしまう場所、身体も心も自由に言葉となって行かれるどこか。
急ぐことの苦手な私は「ゆっくりゆきちゃん」(『わらべうた 続』)を読みながら、海辺か川のある街に引っ越したくなった。
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