2015年3月29日日曜日

緩やかな夕べ

by 梅津志保


『語る 兜太-わが俳句人生』(金子兜太、聞き手:黒田杏子、岩波書店、2014年)を読んでいる。

秋蚕仕舞う麦蒔き終えて秩父夜祭待つばかり 金子伊昔紅

金子兜太氏の父作詞、秩父音頭の歌詞とのことだが、人の暮らし、風土がぎゅっと凝縮されている。祭りを待つワクワクした気持ちが伝わってくる。

人によって、時間の流れは様々だと思う。毎月のルーチンワークで一年を思う人もいれば、一日の時間の流れで季節を感じる人もいる。

私は今、春の季語「春の暮」を強く感じている。会社を退社するとき、今までは真っ暗な道を歩いていたが、今は、少し明るくなった空に、街中のビルも、川も、輝いて見えて、気持ちがゆるりと夕べに解けていくように感じる。季節の少しの変化も当てはまる季語がある。改めてその力強さに驚く。

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