2015年4月6日月曜日

君が僕を知ってる

by 井上雪子


♪いままでして来た悪いことだけで
僕が明日有名になっても
どうってことないぜ、まるで気にしない・・・
「君が僕を知ってる」(RCサクセション)


3月と4月の境、不安と希望がシャッフルされるように大きく揺れる。 見送り、見送られ、ひとりになり、月のない空からやって来る時間にテレビをつけたら、ビッグスターが選ぶ春の歌みたいな番組、なぜか木村拓哉さんがどんな歌を選ぶのかが気になって(思いがけない歌を選びそうな気がして)、ぼんやりと観続けた。
そして、「君が僕を知ってる」が流れて来た。

歌いたいことを歌いたいように歌って、時に発売禁止をくらうキヨシロー、たったひとり理解者がいてくれるということの意味の深さ、それを超国民的アイドルの木村君が受け取っていてくれる。なんて、ブラボー!なんだろう。うまくできたりダメだったりするお互い、「愛し合ってるかい?」ってキヨシローの声がする。

東大に合格したら100万円、金メダルを獲得したら1000万円・・・、明快な目標が提示され、キャラで武装してゆくこどもや若者たち。

暮らしはもはや戦国時代とテレビは告げているけれど、優等生ばかりでも息がつまるし、ヤンキーばかりでもこわい。

桜はどの花もみんな同じに色かたちにみえる。けれど、「最後まで散らなかった桜はほかの花より優秀」ってことじゃない。美しく無駄のない動きは最速、でも数えきれない敗退者たちの努力をひとつの金メダルがチャラにしたりはしない。

そんな素の感性、負の価値の意味を「わかっていてくれる」君がいるはずなのだ。 誰ひとり同じじゃないから、ぶつかって跳ね返って繋がってキラキラする。
キヨシローが投げかけ続けた何か、たぶんきっと子どもたちの深くにも届いていくと思う、そんな4月が始まった。

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