2015年3月23日月曜日

園庭のない保育園

by 井上雪子


近隣の保育園の先生から、 この三月に卒園する子どもさんたちの 手作りの版画カレンダーを頂いた。
カブトムシや鮫、向日葵や顔、 ボール紙を切り抜き、貼り合わせて刷ったそうだ。 画用紙いっぱい、のびのびと単純化されたかたち、 大胆で自由で力強い。
ささやかなお礼をと、 水仙のプランターをお届けしにはじめて その保育園に伺って、あっと思った。
お昼寝タイムの静かな雨の園には お庭がなかった・・・。
そうかぁ、みんなで公園に遊びに来てくれていたのは、 そういうことでもあったんだね・・。
横浜市の待機児童の多さ、 じつは他人事と思っていた自分の、 なんとも鈍感な心に自分で傷つく。
きんぎょ、チョウチョ、くわがた・・・、 生きものに真向かう力強い温かさ、 作品という定規をもたない子どもたちの表現は 邪心がなく、力作というか、傑作というか・・。
けれどそこにある、表現/アートという力には、 型の完成に向かおうとする美意識がある。
何かを届けたいと無意識に思っているだろうか、 未来というもの、 夢というものが胸にぐんと来る。

0 件のコメント:

コメントを投稿