2014年6月16日月曜日

梅雨と夏至

by 西村遼


私が一年の中でどの季節が一番苦手かといえば、トップは僅差で六月だ。
実は季節の変わり目の三月と九月も苦手なのだが、やはりじめじめ梅雨の圧倒的な負の存在感にはかなわない。

一日中垂れ込めている灰色の雲、視界をぼやけさせる雨、雨、雨、となるとまるで本で読んだ木星のガスの大気の下を思わせ、ちょっと季節感とか言っていられない。紫陽花などもろくに見ていない。

それくらい苦手な六月だが、実は私が一年の中で一番好きな季語は、六月の夏至なのだ。毎年夏至の日になると気分がぱっと晴れやいで、夏至に捧げる俳句を十句も二十句も作ったりする。ほとんどは残念な出来なのだが、夏至という概念の持つ宇宙的な感じが言葉にまっすぐ光を当てるような気がして楽しいのだ。

理屈でいえば夏至の日だからといって晴れるとは限らないが、晴れてしかるべきだという期待はいつも持っている。暦の上の言葉と実感にはしばしばズレがあるものだが、夏至くらいはそうであって欲しい。

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