2014年4月7日月曜日

365日

by 梅津志保


子どもの頃、たくさんの動物に囲まれて暮らしていました。
鶏、うずら、インコ、犬、亀。
子雀を拾った時は、どうしたものかと、子雀を鳥籠に入れて庭先に置いておくと(ベストな方法は、子雀を見つけたらそっとしておくことです。)親雀が必死で小雀に餌を運んできたので、慌てて籠を開け、子雀を放ちました。

また、台風の後、鳥小屋の入り口に、増水で流れてきたのか蛇を見つけたときは驚きました。腰を抜かしている場合ではありません。鳥を守るため蛇を追い出しました。このように、365日動物と関わっていました。 

そんな私が、最近読んだ本は、『鳥獣の一句 365日入門シリーズ』(奥坂まや著・ふらんす堂)です。
春には春、冬には冬の、季語と動物を重ね合わせ、一冊に豊かな世界が広がっています。また、自分の誕生日の句を読んだり、今日の句を読んだり。そんな楽しみもあります。
動物は、人に何かを伝えるのではなく、本能のまま、季節の過ぎ行くまま生きているんだ、ともいえます。しかし、動物は、人が「見よう」とする心ひとつで、自分の気持ちに気がついたり、動物の生きる姿の美しさや季節の風景との描写など無限の広がりを教えてくれます。 

先日、動物園に行きました。ふと思ったのは、動物の名前や生態を説明した看板に、その動物に関する俳句も掲載されていたら、もっと人と動物の距離が縮まるのではないか、ということでした。檻の向こう側とこちら側ではなく、今、同じ地で時を過ごしているということ。人は、動物に対してもっと謙虚な気持ちで接する、寄り添う、教えてもらう。俳句の中の世界と同様、この地で人も動物も生き生きと暮らし、いつまでも動物のことが詠める世の中であるといいなと思います。

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