2014年3月24日月曜日

ポモドーロ

by 西村遼


何事も長続きしない自分の意思の弱さにほとほと愛想がつき、意思を強くする方法がないかネットで探したりしている。この時点でいかにも意思の弱い男という感じだが、いろいろ試しているうちに、かろうじて一つ自分に合っているかもというやり方を見つけた。

勉強か何か継続的な日課をすると決めたら、まずタイマーを15分あるいは25分にセットし、タイマーがカウントしている間はそのことだけに集中する、という時間を作る。ここで大事なのは、一定時間行うということが目標で、その質は一切問わない、というルールだ。たとえば語学学習なら、15分、開きっぱなしの教科書をぼへーっと眺めているだけで、実際には一行も頭に入ってきていなくてもいっこうに構わない。人間は習慣の生き物なので、身に付いていないことをする時にはいつも心理的抵抗が働く反面、一度はじめた作業はつい続けてしまうという習性があるので、最初の億劫さや敷居の高さをこの方法で取り除いてしまえばあとは勢いで継続することができるというのだ。そんな簡単なものかとも思うが、なぜか自分には向いているようだった。

気に入った理由はたぶん、「ポモドーロ法」というその名称だ。なんでもイタリア人の作家が考案したそうで、スパゲティの茹で時間をはかるキッチンタイマーを使って自己実現をしよう、みたいな趣旨らしい(ポモドーロはイタリア語でトマトのこと。公式サイトにはトマト型のキッチンタイマーを使う動画が紹介されている)。その由緒じたいがなんだかテキトーな感じで良い。

やり方自体は極めてシンプルだし、事実古来より数えきれないほどの人が同じようなことを考えて実行している。そんな中でこの人固有の手柄があるとすれば、ポモドーロという言葉の響きによるものだと考えたい。PomodoroというO音の連続によって、おおどかというか、そんなに完璧にやるこたないよ、と言われている気がしてくる。ネーミングは大事だ。
 
というわけでこの方法を知って以来、体調の悪い時や忙しくてサボってしまう時、呪文のようにぽもどーろ、ぽもどーろと呟き、まるでCMの台詞みたいに、「大丈夫、ポモドーロ法は君の味方だ!」と自己暗示をかけている。かなりバカっぽい気もするが、意思が強いこととバカになることとは外からだとあまり区別がつかない。私の意思が弱いのは多分治らないだろうから、せめてバカになることを徹底しようかと思う。

(ポモドーロ法の本家サイトはこちら。 http://pomodorotechnique.com/)。

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