by 梅津志保
「さて、このサツマイモをどうしようか」。
小腹が空いた私は、夜中、サツマイモを前にしばし考えた。たくさんの調理法がある。そして、調理する道具も。私は、蒸し器を取り出した。
なぜ、たくさんある調理道具の中から、蒸し器を選んだのか。
料理番組で言われそうなのは蒸し器を使うと「食材に中までふっくら火が通る」とか「おいしさを閉じ込める」といったこともあるかもしれない。でも、私はあの「湯気」が好きなのだ。
湯気に包まれる匂い、勢いのある湯気は「作っている最中ですよ。」という合図のようにも思える。そして、カタカタと鳴り出す蓋、その間中、私をワクワクさせる。
たくさんある季語の中から、適切な季語を選ぶことにも似ている。
特に、5月の今は、生命力にあふれた、元気を与えてくれるような季語が自分の周りにたくさんある。
今日は、どんなことに気がつき、感動し、季語を選び、表現したいと思うだろうか。
蒸し器を選んで良かった。サツマイモはとても甘かった。
サツマイモも季語も、適切に使用することで旨味が一層増してくる。
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