2014年5月20日火曜日

真夜中のサツマイモ

by 梅津志保


「さて、このサツマイモをどうしようか」。 小腹が空いた私は、夜中、サツマイモを前にしばし考えた。たくさんの調理法がある。そして、調理する道具も。私は、蒸し器を取り出した。

なぜ、たくさんある調理道具の中から、蒸し器を選んだのか。 料理番組で言われそうなのは蒸し器を使うと「食材に中までふっくら火が通る」とか「おいしさを閉じ込める」といったこともあるかもしれない。でも、私はあの「湯気」が好きなのだ。 湯気に包まれる匂い、勢いのある湯気は「作っている最中ですよ。」という合図のようにも思える。そして、カタカタと鳴り出す蓋、その間中、私をワクワクさせる。
たくさんある季語の中から、適切な季語を選ぶことにも似ている。 特に、5月の今は、生命力にあふれた、元気を与えてくれるような季語が自分の周りにたくさんある。 今日は、どんなことに気がつき、感動し、季語を選び、表現したいと思うだろうか。

蒸し器を選んで良かった。サツマイモはとても甘かった。 サツマイモも季語も、適切に使用することで旨味が一層増してくる。

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